ある程度の大きさの水槽用ポンプについて

水を吸っては吐く。簡単に言うと唯それだけの装置がポンプです。アクアリウムメーカー各社、水処理・環境専門企業など様々な所から発売されていますが、アクアリウム、且つ大型水槽になると使用出来るポンプは限られて来ます。
当店で水槽を購入頂くお客様方が主に使用されるポンプの様式は大まかに分けて4つです。

縦型ポンプ

主に上部濾過槽式の水槽に使用されるポンプです。良い点は安い、メンテが楽、作りが単純なので丈夫。残念な点は水槽の上に置かないとならないので、意識高い系フレームレス水槽に乗せるには工夫と加工が必要。容量が大した事無いので濾過能力にはそこまで期待出来ない。神経質な人には落水とポンプの振動音が気になる。
縦型ポンプ

水中ポンプ

水中に設置して使用するポンプです。良い点は、これも作りが単純なので安い。水中に設置するので音が静か。残念な点はモーターが水の中で回るので低水温をキープするには不向き。良い点にも残念な点も同時に併せ持つのが、作りが単純なのでアタリを引くと恐ろしく丈夫ですが、ハズレを引くと気持ち良い位あっと言う間に壊れますので、必ず予備を1台持っておきましょう。
水中ポンプ

外部式ポンプ

主にレイアウト水槽などの水槽の箱自体に観賞価値を求めるアクア中級以上の方に愛用されるポンプです。良い点は水槽内が給排水のパイプ程度しか無いので見た目が美しく見える。水草を使用するネイチャー系をやる時は水槽内に酸欠状態を作りやすいので植物育成には好都合。
悪い点、設備投資の金額からすると濾過能力が頼りなさ過ぎる。メンテナンスが濾過装置の中で一番面倒臭い。

外部式ポンプ

マグネットポンプ

主にオーバーフロー、サイドフロー式水槽に使用されるポンプ。ある程度大きいサイズの魚や水槽内に魚を群泳させたい方は大体このポンプを選択する方が多いです。良い点、水量に合ったポンプをセットすれば吸い込み吐き出し共に威力充分。シールベアリング機だとメンテナンスフリーで丈夫。悪い点、ポンプ自体が高価。大手メーカーの90cm規格ガラス水槽フルセットとマグネットポンプ一個(例:イワキRMD-551)が¥35,000と、ほぼ同額。家庭用に普及しているポンプと比べると音が猛烈にうるさい。配管するのにある程度DIYの知識が必要で面倒。場所を取るので邪魔。でんこちゃんから来る毎月の請求書が高くなる。
マグネットポンプ

番外 投げ込み式フィルタ

ポンプはポンプでもただのエアポンプ。でも初心者にもプロにも大人気。通称「ブクブク。」
極端な話、水槽は総水量が何より大事なので、水量さえ確保してしまえばパンチの効いたデカいブクブク(水作ジャンボ)一発でOK。
良い点、安い・簡単・頑丈、見た目がダサカッコイイ。
残念な点、ブクブク言うだけなので物理濾過、生体濾過、共に大した能力は無い。但し、総水量を確保して散気からの物理→生物濾過の流れを作る工夫次第で高性能。
主要ポンプフィルタに加え補助的な使用をする方が多いです。

投げ込み式

中型、大型サイズの水槽で多く使用されるポンプ

以下は、当店の水槽販売実績からセットでご要望頂いたポンプ群になりますので、小型魚水槽、レイアウト水草水槽用とは異なると思います。

W900~1200mm水槽の上部濾過槽用カミハタリオ+、エーハイムシリーズ、コトブキコアパワー、レイシー縦型P、※1)その他
W1500mm以上の上部濾過槽用レイシーP450
それ以上のオーバーフロー水槽用※2)レイシー、サンソー共に流量60L/min以上のポンプ

※1)エーハイム、ニッソー、GEXの外部フィルタを使用している方もおられる様ですが、主に最大サイズが中型までの魚を飼育している様です。
※2)配管に流量調整コックを付けて絞って使用される事が多い様です。

上部濾過槽の水中ポンプやオーバーフロー水槽のマグネットポンプを選ぶ時の基準は、説明書(仕様書)の、1分間あたり何リットルの水を吐き出せるかの最大流量「〇〇L/min」と、ポンプの位置から水を何cm上に汲み上げられるか最大揚程「〇〇cm」に注目して下さい。
「〇〇L/min」=(総水量×7)/60で大体欲しい吐出量のポンプはこの辺かなという感じになり、「〇〇cm」=ポンプから水槽の水面にしたい位置より上の高さ(※図A)になります。

製品により東日本用50Hz/西日本60Hzで周波数や最大揚程が違うので、店舗や通販で購入する時は必ず確認しましょう。

※図A
ポンプ揚程

ポンプメーカー

中型サイズ以上になる魚を飼育する場合、縦型、水中、マグネットの3択になる方が多いです。外部フィルタで行けない事も無いですが、中型サイズ以上になる魚、特に混泳をさせた場合はフン等の量が多くなり飼育水を強烈に汚すので頻繁に物理フィルタの清掃をしなければならないので正直外部はお勧め出来ません。
外部式フィルタはCO2添加が必要な水草水槽、強い水流を好まない小型魚のブリード、レイアウト水槽等の上品なアクアリスト向けと思って頂いて結構です。出来ないとは言っていませんが、「私は近所でもかなり几帳面でマメで神経質な性格だと評判だ」と自分で言い切ってしまえる位の人物じゃないと無理です。少なくとも私には無理です。勿論、メンテナンスをマメにやれば大丈夫です。



以下は、フィルタを発売している各メーカー、通販サイトへのリンクになります。


■メーカーサイト■
安くて丈夫・安心安定と言えば、初心者から上級者まで万遍なくアクアリストに愛されるこのポンプ。リオ+シリーズ
熱帯魚が趣味の人にはレイシーの方が通りが良いですが、千代田区神田の株式会社イワキです。
レイシー
兵庫県のポンプメーカー。社是は「愛と感謝と積極性。」だそうです。
サンソー
個人的にここのヒーターとサーモは一番信頼出来ると思っています。フィルタは底面から外部、OF用と豊富です。
コトブキ工芸
こちらも信頼度の高いヒーターを作っているニッソー。本体がペット業界大手のマルカンなので商品群は豊富です。
ニッソー
GEXも投げ込み~外部まで豊富。
GEX
スペクトラムがどんな意味なのかは知りませんが、テトラもフィルタが豊富です。
テトラ
ドイツ製外部式ポンプメーカー。90cm水槽位迄なら信頼度抜群。水中ポンプも有ります。
エーハイム
海水魚や珊瑚をやる人達には好評のレッドシー。イスラエルが本社らしいです。
レッドシー
白米と日本酒が名産品の県から、エグゼクティブでスタイリッシュなフィルタを貴方へ。
アクアデザインアマノ


◆通販サイト◆
たぶん日本で一番アクアリウムの品揃えが良いネットショップ。外部式ポンプページへ直行するので、一通りメーカーサイトを見たらここで実売価格を見られます。
チャーム外部式


ポンプその他ろ過装置に関しては、大手ネット販売サイトの小売り価格が我々の仕入れ値と同等、むしろ安い時が多々有りますので、アマゾンや楽天で買った方が金額的に得な事が多いです。しかし、主に個人経営をしている熱帯魚屋で飼育用品を購入すると、飼育している生体達と購入した備品の相性等、分からない事がタダで聞けるというネットで購入する金額より多少高くても、それを補って余りあるメリットも有りますので、そこは個人の判断になります。

終わりに

以上が、極めてざっくりとしたポンプの説明になります。
各メーカーのサイトには推奨水槽サイズというのが記載している事が有りますが、あれは水量に対してのポンプの能力で「何の魚が何匹入るか」迄は想定していないので生き物を過密に入れてしまうと当てにならない推奨になります。よって「推奨サイズのポンプで生体を単独飼育だと無理が無い程度」と覚えておくと間違いは少ないと思います。
水族館の混泳水槽の様に、生体を群れで泳がせたい場合は、濾過槽の容量を通常よりもかなり大きく、ポンプは推奨サイズよりも強いポンプを選択しないとなりません。
個人的な経験だと、総水量と濾過器の能力で処理出来る範囲を超えない限りは壊れずに水が回ってくれれば大丈夫です。頑丈なのが一番。

TOPへ戻る